「中小企業診断士って独占業務じゃないし、資格を活かした副業ってあるの?」
「中小企業診断士って合格は難しいのに、その後のキャリアにどう活かされるの?」
中小企業診断士を目指す人や既に合格した人の中に、このような疑問を抱く人も多いのではないでしょうか?
この記事を読むことで、中小企業診断士の資格を活かした具体的な副業案件と、合格後のキャリアパスへのメリットを知ることができます!ぜひ参考にして下さい
中小企業診断士合格後の仕事の選択肢
そもそも、中小企業診断士資格を保有している人はどういう人が多いのでしょうか?
中小企業診断協会が令和3年5月にアンケートを行ったところ、プロコンサルタントとして独立している人と、独立せずに社内診断士として活躍をしている人がそれぞれ約半分という調査結果となりました。
(参考)【令和3年5月】「中小企業診断士活動状況アンケート調査」結果について
アンケート結果から合格後の可能性として主に4つあると考えられます。
①経営コンサルタントとして独立
②コンサルティング会社へ転職
③資格を活かした副業収入の獲得
④社内で経営企画部や財務部など経営に近い部署での活躍
中小企業診断士の合格までの道のり
本題に入るまえに中小企業診断士の合格までの道のりについて解説します。
中小企業診断士の試験内容
中小企業診断士の合格には一次試験・二次試験の突破が必要です。
一次試験はマークシートによる選択型の試験で、企業経営理論や財務・会計など7科目あり幅広い知識を習得しなければいけません。
合否は受験した科目の総得点で決まり、7科目受験した場合は700点中420点以上の点数を取り、40点未満の科目がなければ、10月頃に行われる二次試験に進むことができます。
一次試験の受験科目
一次試験のみ | 二次試験にも関連 |
経済学・経済政策・経営法務 経営情報システム・中小企業経営・中小企業政策 | 企業経営理論・財務・会計・運営管理 |
(参考)令和7年度中小企業診断士第1次試験について(試験案内の概要)
二次試験は筆記試験と口述試験の2つあります。
筆記試験は、一次試験の科目「企業経営理論」「運営管理」「財務・会計」から出題され、題材企業への現状分析や助言を求める問題が出題されます。
口述試験は、試験官と対面で筆記試験の内容をもとに対話する試験となっています。
一次試験・二次試験の合格率
一次試験の合格率は20~30%で推移しており合格率だけ見るとあまり低くはないと感じるのではないでしょうか?
(出所)一般社団法人 中小企業診断協会
ただ、科目別の合格率を見ると、合格率にバラつきがあり、受験する年度によって試験の難易度が変化しています。
(出所)一般社団法人 中小企業診断協会
では、二次試験はどうでしょうか?
筆記試験はこの10年のあいだ申込者数に関わらず20%程度と安定しています。
口述試験は筆記試験の合格者に受験資格が与えられ、合格率はほぼ100%と形式的な試験といっても過言ではないです。

(出所)一般社団法人 中小企業診断協会
一次試験・二次試験の両方の合格率を掛け合わせると、合格率は4~5%前後と難関資格と呼ぶに相応しいものとなっております。
【体験談】予備校を活用した勉強方法
ここでは私の体験談をを要点を絞ってお伝えします。
合格までの勉強スケジュール
私は一次試験を1回独学で受験したあと、予備校に通いはじめ翌年の一次試験に合格、二次試験は2回受験し、通算3年で合格しました。
予備校を利用した理由は、この試験は短期決戦で挑むのがベストだと考えたからです。
なぜ短期決戦かというと、二次試験の受験資格は2回しかなく、もし2回とも不合格となった場合、一次試験からやり直しという残酷な未来が待っているからです……。
一次試験は科目合格と予備校のWEB通信講座を活用
1回目の一次試験では2科目(経営法務、経営情報システム)合格していたので、残りの5科目をTACの講義スケジュールにそって勉強に励みました。
予備校の良い点は、受験日まで逆算したスケジュールを敷いてくれ、残された時間の最適な時間の使い方を示してくれる点です。
二次試験も予備校のWEB通信講座を活用
二次試験の1回目は一次試験の結果が出てから二次試験の受験日までの日数が少なく、付け焼刃で臨んだので、手応えもなく当然ながら不合格という悔しい結果となりました……。
そして、ラストチャンスの2回目の試験日までの時間を予備校のカリキュラムをこなせば合格すると信じて身を委ね、無事合格をつかみ取ることができました!
【合格後】中小企業診断協会加入による副業案件
本題の合格後の副業案件について紹介していきます。
中小企業診断士の資格を活かして副業をするときの1番の問題点は「いつ営業をして仕事をとってくるのか?」です。
まさにそれを解決してくれるのが「中小企業診断士協会への加入」です!
加入方法は「5.中小企業診断協会加入までのステップ」で解説するので、まずは具体的にどのような副業があるかを見ていきましょう!
副業①:中小企業診断士の一次試験の試験監督補助
試験監督員の補助として、試験用紙の配布・回収業務などを行います。
2日間働いて3万円弱の収入ですが、仕事内容もシンプルですし、副業初心者にお薦めです。
「副業に興味があるけど、まずは小さく始めたい」という方にぴったりな案件です。
副業②:中小企業支援機関からの受託案件
中小企業診断協会は信用保証協会など中小企業支援機関と連携しており、中小企業の「経営診断業務」を受託しています。
経営診断の業務は実務補修で学んだことを活かすものとなっており、主に4つの手順に沿って進めていきます。
①ヒアリング、現状・問題把握など
②追加ヒアリング、問題点・課題、改善の方向性の検討など
③改善策の説明・検討、報告書全体概要の説明
④経営診断報告書の説明、改善に向けた助言など
経営コンサルタントの仕事ですので、収入は1案件10万円を超えます。
作成する経営診断報告書のページ数は概ね15ページで、フォーマットもある程度決まっているので、計画的に取り組めば4カ月以内という目標期間は十分クリアできます。
【合格後】キャリアパスへのメリット
キャリアパスへのメリットも解説します。
勤務先以外での二枚目の名刺獲得
中小企業診断士は立派な国家資格であり、対外的に信用力の高さを示せる士業です。
仕事外でのコミュニティで「2枚目の名刺」を持つ人が私の周りでも増えていますが、そうした場面で「中小企業診断士」の肩書きを記載した名刺は第一印象を良くします。
実務補修や研究会参加による社外の人脈拡大とスキルアップ
中小企業診断士の二次試験合格後に行われる「実務補習」では、2~4人でチームで企業に対して経営コンサルティングを行うものです。
私が実務補修を受けた時に出会った業種は、自動車メーカー、電機メーカー、食品メーカー、経営コンサルタント、金融機関、公務員など多様でした。
もう一つ、中小企業診断協会の活動に会員同士で切磋琢磨する「研究会」があります。
広島には「事業承継研究会」「企業内診断士診断能力向上研究会」「海外展開支援研究会」など13の研究会が活動しています。
別の業種の方との会話は、新たな気付きを得ることが多く視野が広がりますし、仕事で困った時には助けてもらえる協力なパートナーにもなります。
中小企業診断協会加入までのステップ
①実務補修15日間、または実務従事15日間を修了
②中小企業診断士登録
③各県の中小企業診断協会へ入会申請
中小企業診断士登録と中小企業診断協会への入会は別物でして、広島県で入会する際には入会している方から推薦してもらうのと入会費+年会費を支払いました。
入会すると協会のネットワークを通じて仕事を斡旋してくれます。
協会員全員に対して同時に斡旋をしているので、受注できないこともありますが、営業しなくて良いのは、会社勤めの人にとってはかなりのメリットです。
まとめ
今回は中小企業診断士の合格後の副業とキャリアパスについて解説しました。
副業したい方、キャリアパスで悩んでいる方のどちらの方にも「中小企業診断士」資格はメリットが大きいです。
とはいえ仕事をしながら難関資格を目指すのは時間も限られるなか本当に大変です……。
自分のライフスタイルに合った学習計画を立てて、中小企業診断士としての第一歩を踏み出してみましょう!
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